研究室紹介

安全な畜産物の安定供給を目指して

現在私たちが享受している豊かな食生活は、畜産農場における生産により支えられています。この畜産物の供給の流れ(フードチェーン)の最上流である畜産農場では、家畜に感染する様々な感染症との闘いが続いています。私たちは、安定的な畜産物の供給と、さらにその安全確保のために、フードチェーン最上流における重要課題である感染症制御を目指して研究を進めています。


私たちは、重要な栄養源として古くから利活用され、現在も多様性に富んだ食文化を支える「乳」に着目しています。乳は牛、山羊、羊などの反芻動物により供給されていますが、その乳生産の場となる反芻動物の乳房は、微生物感染によって乳房炎を発症します。一方、世界では乳を原因とした食中毒が後を絶ちません。私たちは、人獣共通感染性病原体を含む腸内細菌目細菌に着目し、この乳房内感染症の成立機序解明を基盤として、生産現場における乳房炎制御を通じた食(乳)の安定供給と、生乳衛生の向上を通じた食(乳)の安全に貢献することを目指しています。同時に、獣医師としての臨床経験を活かし、効率的な乳房炎治療と早期生産復帰に資する迅速診断技術の開発にも取り組んでいます。